PC vs iPad 音大生が持つべき端末はどっち?

先日、学生さんから、PCを買うかiPadを買うか迷っている、というご相談をいただきました。

インターネットを検索してみると、PC派の意見もiPad派の意見も、どちらもたくさん記事になっています。どちらにもメリット・デメリットがあるということなんでしょう。

 

とはいえ、学生さんに「どっちも買っちゃえ!」というのは乱暴ですし。

せっかくご相談いただいたテーマですので、「音大生が持つなら」という視点から、ミュージックコンパスなりの提案をしてみたいと思います。

※この記事では、「持ち運べる端末」を前提にしていますので、PCについてはノートPCやタブレットPCを想定しています。

 

端末で何をしたいのか明確にしましょう

この記事を読んでいる方は、おそらく何らかの端末が欲しいなと思っていることでしょう。

スターバックスでコーヒーを飲みながら作業をしている人とか、楽譜をデータ化して端末を見ながら演奏している人とか、かっこいいですもんね。

 

PCにもiPadにも、それぞれ長所・短所がありますし、出来ること・出来ないことが決まってしまいます。

まずは、手に入れた端末を何に使うのかを明確にしてみましょう。

「絶対に出来なきゃダメ!」と「出来たら嬉しいな。」ぐらいの温度感でかまいませんので、使う目的をざっくりと分類しておくといいかもしれません。

自宅にPCが無いなら、PCの購入がお勧め

まず、ご自宅にPCが無い方や、日常的にPCを使う習慣が無い方については、PCの購入をお勧めします。

 

iPad専用のOS(Operating System、機器に基本動作をさせるシステム)が公開されたことで、ここ数年でかなり「PCっぽく」使うことはできるようになりました。

iPadで使用できるキーボードはApple純正・サードパーティー製品など多くの種類があります。また、Bluetooth接続でマウスも使用できますので、WEBページの閲覧や、ブログ用に文章を書いたり簡単な画像編集をしたりすることは容易です。

 

ただし、Microsoft OfficeのWord・Excel・PowerPointといったアプリケーションを使用する場合には、iPadですと少々難があります。

Microsoft OfficeiPadでは使えない?

Microsoft Officeは、iPad用として有料版・無料版のアプリケーションが公開されています。つまり、全く使えないという訳ではないということですね。

 

無料版では画面サイズによって使用できる機能が異なり、10.1インチ以上のiPadでは閲覧可・編集不可の制限がかかってしまいます。

現在(2020年3月時点)販売している中で、一番小さな7.9インチ画面のiPad miniであれば、無料版で簡易編集をすることもできます。

ただし、画面が小さいため長時間の作業にはあまりお勧めできません。

 

その他の現行機種であるiPad (無印・第7世代)、iPad Air、iPad Proでは、いずれも10.1インチ以上の画面になりますので、無料版では編集をすることができません。

10.1インチ以上のiPadでMicrosoft Officeの編集が必要な場合には、有料版(サブスクリプション契約、月額1,000円程度)が必須となります。

数年間使うことを前提として維持費も含めて考えると、Microsoft Officeインストール済のPCを購入した方がコスト面でもメリットがあるかもしれません。

 

Microsoft Officeではなく、代わりのアプリケーションを使用する選択肢もありますが、誰かとデータをやり取りする際に、互換性が障害になってしまいます。

大学でのレポートの提出、企業へのESの提出などの場面で、WordやExcelといった指定をされることもあるのではないでしょうか。

 

また、Microsoft Officeは、特に一般企業への就職を考えている場合には間違いなく必要となるスキルです。将来を見据えてスキルを身に付けておくためにも、苦手意識のある方はPCを購入して克服しておきましょう。

 

iPadにはメリットたくさんあります!

iPadの最大の強みは、拡張性の高さだと思っています。

App Storeでアプリケーションをダウンロードすることで、どんどん機能を増やせます。電子書籍を読んだり、書類や楽譜をPDF化したり、メモを取ったりと、本当に万能です。

 

また、携帯性に優れている点も、iPadの魅力の一つです。軽いし、かさばらない。しかも、バッテリーが長持ちなので、毎日充電コードを持ち歩く必要もありません。

 

現在わたしは、iPad (無印・第7世代)Wi-Fi 128GBにApple純正のキーボードを付けて使用していますが、外出先にPCを持って行くことがほぼ無くなりました。

ミュージックコンパスに掲載しているこの記事も、iPadのみで書いています。Apple純正キーボードの打鍵感も悪くないですし、簡単な画像の編集は十分に可能です。

 

ノートの代わりに使うにもiPadはお勧め!

別売りのApple Pencilや、サードパーティー製品のスタイラスペンを購入することで、iPadはノートやメモ帳として使うことができます。PDF化した資料や楽譜に手書きで書込みをすることもできるんです。

 

授業で配られた資料をその場でPDFにして、手書きでメモを取ることができますので、テストの直前に「資料が見つからない!」と慌てることも減らせます。

 

また、音大生はお部屋が楽譜だらけになりがちです。すべてデータ化してしまえば、見たい時にいつでも取り出せますし、お部屋もすっきり片付きますよね。

 

演奏会でiPadを使うのは要注意

近頃は、演奏会本番でもiPadで楽譜を見ている演奏者が増えています。

便利だなとは思うんですが、失敗談も耳にしますので注意が必要です。

 

・バッテリーが切れる

スマートフォンに比べてバッテリーが長持ちなiPadですが、うっかり電池の残量を気にせず本番に臨むと、痛い目を見るようです。

 

・本番中にLINEが届く

弱奏の真っ最中に「LINE!」と元気よくメッセージの到着をお知らせ。

楽屋が圏外だったので、ネットワークを切り忘れたとのこと。気を付けましょう。

 

・舞台上に青白い顔の霊が!?

暗転の際に顔だけ青白く照らされてしまい、指揮者が悲鳴を上げたとか。舞台照明をよく使う、吹奏楽ならではのエピソードなのかもしれません。画面の明るさは調整しておきましょう。

逆に、暗いオーケストラピットでもばっちり楽譜が見えるのは、メリットでもあります。

 

作曲・編曲をするならPCが必要?

現在は、iPhoneやiPadでも作曲・編曲ができるアプリケーションが公開されています。

これらのアプリにも便利なものがありますし、演奏したい曲を耳コピして四重奏にアレンジするくらいのことは十分に可能です。iPadに接続できるMIDIキーボードも売られています。

 

複数のアプリを試してはみましたが、どのアプリにも「ちょっと操作しにくいな」と感じるところがありました。本気で作曲・編曲に取組む方には、PCが適しているのではないかと、わたしは思っています。

 

PC用の楽譜制作ソフトについては、付属する音源の影響などにより、データ容量の大きなものがあります。

インストールする予定がある場合には、ある程度のスペックがないとストレスなく作業ができないかもしれません。事前に、推奨される動作環境を確認しましょう。

 

なんでもできるタブレットPCが最強なのか?

タブレットPCや2in1PCと呼ばれる、PCとしてもタブレットとしても使える端末もあります。

 

このタブレットPCと、iPadなどのタブレットは何が違うのかというと、OSの違いだと思ってください。

Windowsで動いていて、画面タッチでも操作できるのがタブレットPCです。

 

一方で、タブレットはiOS・iPadOSやAndroidで動いています。

ものすごく簡単に言ってしまえば、タブレットは「デカいスマホ」ということです。

 

シンプルに考えると「どっちも使えるならタブレットPCが最強じゃん!」となるんですが、一概にそうも言えないのが難しいところ。

 

まずは、価格の問題です。

ノートPCにタブレットとしての機能が追加されているわけですから、当然、価格が上がります。安価なタブレットPCも無いわけではありませんが、その分性能が落ちるわけです。

価格だけで考えると「タブレットPC > ノートPC > タブレット」になりますので、快適に使える端末を手に入れるためには、タブレットPCが一番高額になります。

 

また、タブレットPCでは、タブレットとして使用するときの拡張性がiPadに比べて劣る、というのがわたしの印象です。

もちろんWindows用にも無数のアプリケーションが開発されていますが、価格が高かったり、フリーソフトはウイルス感染が心配だったりと、気軽にインストールできないと感じています。

 

以上の理由から、よほど資金に余裕があるのでなければ、どっちつかずの中途半端な結果になってしまうのがタブレットPCなのではないか、と思っています。

 

この記事のまとめ

ノートPC にもiPadにもメリット・デメリットがあります。

一概にどちらがいいと言うことはできませんので、「その端末を使って何をしたいのか」を整理してから購入しましょう。

 

また、使用目的に明確にしておくことで、必要以上にスペックの高い端末を購入しなくて済みますので、出費も抑えられます。ものすごく高性能なものを購入して、YouTubeを見るだけではもったいないですからね。

 

ただし、就職活動をする方については、ES作成などのためにも、手元にPCがあることが望ましいと思います。自宅にPCがないようであれば、まずは、ノートPCを手に入れましょう。

会社に入れば、ほぼ間違いなくMicrosoft Officeのアプリケーションを使用することが求められます。将来を見据えて、スキルを身に付けておくことも大切です。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

ミュージックコンパスでは、Microsoft Officeの使い方に関する、初心者向けワークショップを準備しています。PCの操作に不安がある方、ワークショップへの参加をご希望の方は、ぜひ、以下のフォームよりご登録のうえ、メッセージをお願いします。

その他、ワークショップの情報など、音大生のキャリア形成に役立つ情報をお届けしています。ピアノの先生になることも、留学することも、就職することも、ミュージックコンパスが支援します。

◇ミュージックコンパスメンバー登録のご案内

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA